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C3
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一歩上の課題に取り組む時、工夫次第では難なく乗り越えられる事もあります。柔らかな思考力で。

[C]では「ピアノのテクニック」を扱っています。弾きたいという意欲に結びついた練習であればあるほどこの「テクニック」が重要なわけは明白なのですが、得てして逆の結果になっていることが多いのも事実です。
 これには、理由があります。その曲が好きな場合、弾くことに夢中になってしまうからです。曲の激しいところ、ひときわ派手なところに惹かれて、その分析ができないうちにただ弾いているという時には、瞬間の音を聞いていない、という不思議な弾き方になるためなのです。曲のクライマックスを弾ききれないでごまかしてしまうという演奏に陥りやすいのもこの為です。
 これは弾き手としての訓練を積まないと解決できないことは確かです。
 「テクニック」というとただ指をよく動くようにする「指の体操」かと思われますが、曲の分析と綿密に関わりのあることを練習するのですから、無味乾燥に指を動かしていれば上達に結びつくとは限りません。どんな音を出す事が求められているのかをきっちりと見定めた上での、いろいろな調を自由に弾けるようになる為の「音階練習」であり、「アルペジオ」の練習であるわけです。
 普段弾く曲が2オクターブくらいの音階が含まれるようになってきたら、2オクターブの音階練習やアルペジオの練習をやってください。ことにアルペジオは2オクターブの手の運び方が難しいのです。やさしい調の方が手の運びに苦労するということがあります。黒鍵の多い調での練習もよくやってください。
 また、目的別に練習曲が作られている訳ですから、そのことをふまえて選んだ練習曲をやっていきましょう。ほかに、重音(3度の練習、6度の練習)、対旋律の練習曲など、目的別にいろいろないい練習曲があります。
 今弾いている曲の中から、難しいところを解決するには、練習の必要な所を取り出して、基本に帰して弾いて見る。(その基本とは、どの調でも自由に弾ける音階であり、アルペジオのことです。)次に、それを応用して弾いて見る。応用には際限なくヴァリエーションがあり、よいテクニックの練習を積んでいると、自ずとそのヴァリエーションが涌き出てくるものです。
 じっくりと取り組むという姿勢も大切です。

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