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自然の叡智に触れる時、人間の魂の技に触れる時、呼応する感性が磨かれます。交流の喜びを得る。

現在を、自分の感覚で感じ取り、確認するという感性。自分が今、または、これから何をしようとするのかを支配する感性。音楽をやっていることで、生きていくセンスを磨きましょう。また、音楽の現在を認識することから、自分を再確認することも大切です。 
 「昔のうた」やそれぞれの「土地の歌」が、だんだん歌い継がれなくなって、消えてしまいそうな危機感のある時代です。都市化が進み、大自然の懐に抱かれて歌うという機会を失いつつあるからです。それでも、日本古来の雅楽、邦楽、そして、民謡など日本独自のものを日本人として忘れるわけにはいきません。これらのものから、あらためて日本の風土を再認識するとともに、この国に暮らす自分を再認識することができるからです。
 「世界の音楽」に目をむければ、アメリカのジャズ、フランスのシャンソン、イタリアのカンツォーネなどを筆頭に無数の音楽があふれています。それぞれの国や土地の風土と密接な関わりをもって、言葉や文化、そして、音楽も存在するのです。
 瞬時に世界と交信できる現代社会において、これらの特徴のある民族固有の音楽は、これからは影響し合って混ざり合い、一つになってしまうのでしょうか。それとも、固有のものゆえに再評価されていくものでしょうか。興味は尽きないところです。
 音楽の現在のとらえ方の一例としてこのような考察をしてみましたが、このように、「クラシック音楽」ばかりではなく、広い世界を視野にいれて感性を豊かにしていきたいものと思います。
 ピアニストは、独り善がりな演奏に陥りやすいものです。機会を得て伴奏やアンサンブルにも参加してください。共に演奏することでピアノ以外の楽器や歌にも視野が広がり、いろいろな音色、いろいろな表現と交わりを持つことが出来ます。
 他人と協力して音楽を作り上げるプロセスで、相手の音楽観とのダイレクトな出会いがあります。そこで、自分の音楽観が試され、さらに磨かれていくことになるものです。 また、時代や国を超えた作曲家との出会いも、第三者を交えて行われることで、より克明になってくるのです。
 感性を磨いて、音楽という「人間の魂の技」との出会いに気づきましょう。

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