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B1
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基本的な事を記号で表すことを知るとそれが如何に便利かを理解します。記号の約束が知の原点。

「はあい」とお返事したソの声から、一線譜上の「いちばんぼしみつけた」をソとファの声で歌います。
 いちばん星を夕やけ空の向こうに見つけた時の感動を思い浮かべてみましょう。昼と夜の境目をその景色のなかにとらえた時に、その夕焼けの美しさも相俟って、言葉にならない感動を味わったという経験をお持ちでしょうか。心の原点…人それぞれ感じ方は別なのだけれど、大自然に感動する心は相通じるものだというのが原点でしょう。
 そのような思いを語り合いながら、歌にある景色を描いてみたり、生徒に描いてもらったりしてみましょう。
 次にピアノに座って、いま、歌っていた「ソ」の音を探します。
便利な記号としての一線譜上の音譜を使いこなすことで「創作」や「即興」も充分にたのしんでください。
 「いちばん星」の歌の続きで「あれあのもりの」を歌ってみるとソとファだけでは表わせない事に気がつきます。ラはどうなるのでしょうか。たいがい生徒が「上に置けばいいよ」と教えてくれるのです。それでは、「ソファソラソソレ」のレはどうなるのでしょうか。これはちょっと困ります。線が足りないという時には加線でもいいことにして間に合わせています。でも、もしもその時、生徒が「ミ」の約束の線を登場させることに気づいたらそれでもいいのです。
 約束が守られればどんなにいい事がいっぱいあるか。…これは学習の原点ともいえることですね。その記号の約束を覚える事で、
*混乱しない。 *分かり易い。 *自由に歌を書き表す事ができる。*それを見て歌うことができる。・ ・ ・ 世界がこんなに広がることになるのです。
 これが強制された事であったら、ぜんぜんおもしろくはないわけで、その生徒の必要に応じてこれから創っていく5ステップの引出しから興味のわく小物や断片をいろいろ出して使うという計画です。
 [B]の層では感性に訴えるレッスンの展開で、あくまで教えこむのではなく、思考力や、感じる心を摘み取ってしまわない事が最大の課題と思ってください。はやく進めばいいように思うものですが、スピードを上げれば、「道端の花」など目に入らないのと一緒で小さな花の美しさに気づかないで過ごしてしまう、そんな感性しか育たないかも知れません。
 幼少の時期、子供は母親を又は周囲のおとなを喜ばせたい気持から、親の与える知育教育にどんどん反応して学びます。特別な才能が用意周到に育てられるという環境が整えられていない限り、うっかり断片的に、その場のなりゆきで与えてしまう事のないように、むしろ、多すぎる情報から守ってあげることも大人の務めと考えられるでしょう。

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