Hisayo horiuchi
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出会いの挨拶はコミュニケーションの始まりです。同じ目線でコンタクトが取れ心を開いて呼ぶ。
ここは原点。教師は地表に立って初めての方にお会いして「ピアノのレッスン」にご案内します。
まず、ピアノ以前に必要な事をすべてチェックしたいものです。
小さな子供とお母様であっても、おとなの方であっても、まず、名前の確認、その人物の確認、そして、挨拶となりますが、これが出会いです。教師がその時、自分の階段はここだからと上から物を言ったらどうでしょう。その出会いは不完全なものとなり、1回目から原点といえるようなレッスンを展開する事は不可能となるでしょう。もちろん、何回かかけて、少しずつ、いつもこのチェックを行っていくのは、言うまでもない事です。
まず、教師の方が地表に立つことが基本です。先生という役職以前に人間としての基本に立ち返ることが人間としての原点で、教師自身のピアノ以前を常に確認しましょう。ピアノ以前とは体調や精神状態のことです。当然のことですが、これが案外難しい事だと思いませんか。
そして、生徒との「コミュニケーション」が成立したら、次に、私は年少の生徒には「お歌でおなまえ呼びますよ。お答えしてね。」といって、「○○ちゃん」とソファソの声で歌います。今の子供たちは一般的には「わらべ歌」で育っていませんから、たいがいお返事に困ってしまいます。そこで、お歌で呼ばれたらお歌でお返事するものですよ、とルールを決めるのは、先生のリードで。「はあい」とソファソの声でいっしょにお返事できるように、ここから覚えていきます。呼びかけにちゃんと答えてもらうわけです。呼んだら答える。これも人間としての原点です。答えてもらえなかったら悲しいですね。
次にその事を記号として表わしたいので、画用紙に線を一本、真横に引いて、「一線譜」として使います。この線はソの線です。その時必ず「ソの約束」をして、お互いに了解してから、ソファソと全音符で書き入れます。「はあい」のお返事を表わします。ここには、音楽の原点になるリズムとメロディの最小の単位が含まれています。
このやり方は私のオリジナルですが、これを利用して展開していただいてもいいですし、また、数ある導入の教本を参考に、このような要素がどんな展開で盛りこまれているかを見極めて、ご自分のレッスンに取り入れていく事をお勧めします。