
一年でいちばん陽の長い時期になりました。まだ明るい6月17日の夕方、ゲストの
中川聡子さんを迎え<パリのエッセンス>というサブタイトルで第39回ルネック土
曜定期サロン「古くて新しいベートーヴェン」は行なわれました。
フランス軍は勝ち進み、1809年5月13日ナポレオンはウィーンへ入城する。このころ
が彼の絶頂期といわれています。このような歴史のうねりの中でベートーヴェンはど
んな生活をし、何を考えていたのでしょうか。1809年から1810年に作曲された「ピア
ノソナタ26番<告別>変ホ長調Op.81a」は、彼の親しい友人であり弟子でもあるル
ドルフ大公に献呈されています。「告別、ウィーンにて、1809年6月4日、敬愛するル
ドルフ大公殿下の御出発に際して」と書かれた第一楽章は、Lebewohl(さようなら)
というホルンの5度のモチーフで始まり、突然の激しい感情がぶつけられた一節と楽
しげな旅の始まりを感じさせるフレーズによって描写的な曲になっています。第二楽
章は「不在」別離の悲しみ…重い足取りとレスタティーフォの深い感情表現がこのう
えなく美しい。第三楽章は「帰還」再会の喜び…アタッカで続くこの楽章はわくわく
する喜びそのもので、曲全体がひとつのストーリーになっています。そこから歴史に
書かれていない真実がほとばしる…としたら。
  
コーヒーブレークの後は、中川聡子さんの演奏で1862年パリに生まれたドビッシーの
初期の作品「アラベスク」「月の光」、中期の作品「喜びの島」(1904)、19世紀中
ごろにパリで活躍したショパンの「即興曲第1番」などを愉しみました。 次回7月は第三土曜日15日です。太田一也さんのチェロで‐歓喜の声、高らかに‐
変奏曲、ほかを…お楽しみください。 |