その日、ルネックロビーではイラク被災地の写真展(郡山総一郎氏撮影)が行われていました。幼い子供たちの大人びたまなざしが、せっぱ詰まった暮らしを思い起こさせます。そんなサロンに赤いネクタイのハーモニカのおじさん、渡辺一義さんご夫妻が現れて、コンサートが始まりました。
11月20日のルネック土曜定期サロン「古くて新しいベートーヴェン」前半は、「ピアノソナタ13番」・・・『幻想風に』とベートーヴェンが書き記した作品27の1番です。生徒だった貴族の令嬢ジュリエッタに夢中の31歳の時の作品。健康が優れず、ことに聴覚が失われていくという絶望の中、べートーヴェンはどれほど彼女の優しさに救われた気持ちになったでしょう。この曲の随所に「彼女に聞かせたい」と願って書いたに違いない美しいメロディーが現れます。作曲の技法として新しいことは、楽章の切れ目をなくして三つの楽章をアタッカでつないでいることです。古典様式を抜け出てロマン派の様式を模索していく初めてのものと言えるでしょう。「19世紀のロマン派」を意識していたのでしょうか?紛れもなくそのさきがけとなった一曲ということになると思います。緩急交互に現れる「優しさと激しさ」はベートーヴェン独特で、聴くものを圧倒する迫力に満ちていて、決して軟弱な曲とは言えないと思いました。
コーヒーブレークの後、渡辺一義さんのハーモニカで「ベートーヴェンのメヌエット」、「宵まち草」、「ドナウ川のさざなみ」、ピアノとの「スワニー川」等を楽しみました。
次回は12月18日。ベートーヴェンのピアノソナタ14番「幻想風」Op.27-2嬰ハ短調・・・有名な「月光の曲」です。ハンドベルの仲間たちのクリスマスソングも楽しみです。 |